前の記事でお金について触れましたが、摂食障害によってかかる費用をどこから得るのが良いのでしょうか?
私は26歳で実家を出るまで、ほとんど両親と祖母に頼っていました。アルバイトはしていましたが、働くと消費カロリーが増えて痩せてしまい、続ける事が難しかったです。
実家にいれば、治療費も食費も家族が負担してくれます。実家を出るまでは、それが当たり前だと思って生活してきました。むしろ、病気なんだからもっと出してくれと思っていたのです。考え方もかなり歪んでいたし、甘えていました。
摂食障害が長くなると、症状や体重が原因で家族と揉める事が多くなり、監視されるのが嫌で、仕事を探し実家を出ました。
実家を出た事は私にとって、大きな転機になりました。一人暮らしは大学生の時に一度、失敗しているので、実家の近くに住み、体調が悪くなったら早めに実家に帰れるようにしました。
一人暮らしは、食や体重について誰にも監視されず、楽だと思っていましたが、買い物も掃除も洗濯も、全部、自分でやらなくてはならないので大変でした。初めて親のありがたみを感じました。
その頃は、家賃や食費、生活費は自分で出し、治療費だけ両親が出してくれていました。生活するためにはお金が必要なので、必死で働きました。どうしても、実家には戻りたくなかったのです。私の病気のせいで家族がバラバラになり、毎日、自分を責めて暮らすのが嫌でした。過食嘔吐のたびに、ヒステリックになる母。私と食事をしなくなり、目も合わせない父。私がいると家に居場所がないと言って、実家を出て行った姉。病気を治せない自分を常に責められているように感じました。家族も人間なので、そうなるのは当然のことですが。
仕事を探す上で、重視したのが「自分の体力で出来るかどうか」と「お金」です。初めはフルタイムで働けないと思っていたので、短時間で時給がいいバイトを掛け持ちしていました。
徐々に勤務時間と日数を増やしていき、フルタイムで働けるようになりました。痩せたい気持ちはあるけれど、働くためにも食べないといけないし、体力も必要です。そう考えると食べる事への恐怖は薄れました。仕事中は病気の事を考えずに済み、視野も広がりました。この時期に大きく回復したと思います。
仕事をすると自分の行く場所があり、少なからず必要とされていると思えますし、お金を得る事も出来るので、仕事は失いたくなかった。摂食障害の症状があっても働く事は、回復する上でとても大切だと思います。
生活費も過食代も自分でまかなえるようになり、治療費も自分で出し、少しは自立できたと思います。
家族からもらったお金で過食するのと、自分で得たお金で過食するのは、大きな違いがありました。何もせずにもらった、千円と自分が働いて得た千円は重みが違います。
働いてお金を得る大変さが分かるようになると、家族への感謝の気持ちも生まれます。
順番から言うと、親は自分より先に亡くなります。自分が死ぬまで、家族に頼る事は必然的に無理なのです。そう考えると、摂食障害を抱えていても、いつかは自立しないと生活できません。
摂食障害の辛さに比べたら、仕事でのトラブルや大変な事は乗り越えられると思います。
私は9年間、コミッションとインセンティブで給料が変わる、かなりハードな営業をしてきました。トラブルは日常茶飯事で、ノルマに追われ嫌な事もたくさんありましたが、一番辛かったのは、摂食障害の症状です。仕事中に食べる事がコントロール出来なくなるのが本当に辛かった。
仕事によって症状が悪化する場合もありますが、逆に仕事がなくて時間を持て余し、症状が悪化する場合もあります。
育児や介護、体調により仕事が出来ない方もいると思いますが、摂食障害が回復する上で、働いて自立する事はとても重要だと思います。